公開日: 2025年8月25日

【宇都宮・郡山編】ぼたもちと削り花に見る、地域のお彼岸ものがたり|山形・郡山・宇都宮、壬生【あおば斎苑、セレモニーホール】

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同じ想い、異なるかたち

 

秋のお彼岸に寄せる、ご先祖様への感謝の気持ち。その心は日本全国どこでも同じですが、表現のかたちは地域によって実に様々です。北関東の中核都市・宇都宮と、東北の玄関口・郡山に焦点を当て、それぞれの地域で育まれたお彼岸の風習を訪ねてみましょう。二つの街の物語を知ることで、私たちが受け継いできた文化の豊かさと奥深さを、改めて感じることができるはずです。

 

宇都宮に根付く、暮らしに溶け込んだ供養の文化

 

餃子の街として知られる宇都宮ですが、その周辺に広がる栃木県には、ご先祖様を敬う心が深く根付いています。その特徴は、供養の習慣が年中行事や日々の暮らしの中に、ごく自然に溶け込んでいる点にあります。

その象徴が「ぼたもち」です 。一般的には春は「ぼたもち」、秋は「おはぎ」と呼び分けられますが、栃木県では年間を通じて「ぼたもち」という呼び名が親しまれています。お彼岸やお盆はもちろんのこと、稲刈りが終わった後の「刈りあげぼた餅」など、農作業の節目にも作られ、収穫の感謝と結びついてきました。これは、ご先祖様への想いが、季節の移ろいや日々の営みと共にあることを示しています。

また、お彼岸のお供え物として「五目寿司」が作られる家庭も多くあります 5。これは、ご先祖様へのおもてなしとして、少し特別なご馳走を用意したいという心遣いの表れでしょう。さらに、栃木県の広い地域には、長い数珠を大勢で回しながら念仏を唱える「百万遍念仏」や、出棺の際に花に見立てた紙を籠からまく「花籠ふり」といった独特の風習も残っています 。これらは、お彼岸という特定の期間だけでなく、人々の生活の中に、ご先祖様とのつながりが常に息づいていることの証左です。宇都宮の文化は、供養が特別な儀式なのではなく、暮らしの一部であることを教えてくれます。

 

郡山に咲く、創意と真心のしるし

 

福島県の中央に位置する郡山。この地域のお彼岸の風習には、東北地方の厳しい自然環境の中で育まれた、人々の創意工夫と温かい真心が映し出されています。

その最も美しい例が、「削り花(けずりばな)」または「カンナガラ」と呼ばれる木製の造花です 。春のお彼岸の頃、まだ寒さの残る東北では、お墓に供える生花が手に入りにくい時代がありました。そんな中で生まれたのが、木を薄く削り、赤や黄色、緑に染めて花の形にした削り花です 。これは、ないもので済ませるのではなく、あるもので心を尽くし、ご先祖様のために美しいものをお供えしたいという、切なる願いの結晶です。厳しい環境を生き抜いた人々の、たくましさと優しさがこの一輪の花に込められています。

食文化にも、郡山ならではの特色が見られます。会津地方を中心に、お彼岸などの法事の際に「まんじゅうの天ぷら」がお供えされることがあります 。甘いおまんじゅうを揚げるという、少し意外な組み合わせですが、これもまたご先祖様へのおもてなしの心から生まれた郷土の味です。また、福島県は「じゅうねん」と呼ばれるエゴマの産地であり、栄養価の高いじゅうねんを使った「じゅうねんぼたもち」も作られます 6。これもまた、土地の恵みを最大限に活かし、健康への願いを込めてご先祖様に捧げる、理にかなったお供え物なのです。郡山の風習は、限られた資源の中から豊かさを生み出す、人々の知恵と深い愛情を物語っています。

 

地域のお彼岸料理、その多様性と共通の心

 

山形、宇都宮、郡山。それぞれの地域が育んできたお彼岸の食文化は、その土地の気候や歴史を映し出し、豊かな多様性を見せてくれます。

地域 代表的なお供え物 文化的な意味合い
山形 団子の使い分け、恵胡、くるみとうふ 儀礼的な時間の流れを表現し、洗練された仏教の教えを反映
宇都宮(栃木) ぼたもち(通年)、五目寿司 農業暦や生活サイクルと深く結びついた、暮らしに根ざす供養
郡山(福島) 削り花、じゅうねんぼたもち、まんじゅうの天ぷら 地域の資源を活かし、厳しい環境の中で生まれた創意工夫と真心の象徴

宇都宮のぼたもちも、郡山の削り花も、そのかたちは違えど、根底にあるのは「ご先祖様を敬い、家族の未来を守りたい」という、万国共通の願いです。そして、その願いを現代において最も確かな形で実現するためには、やはり事前の準備が欠かせません。どのような伝統や習慣をお持ちのご家庭であっても準備の必要性は同じです。アオバヤ仏商の無料事前相談では、皆様の地域やご家庭の慣習を尊重しながら、最適なプランをご提案いたします。大切な伝統を未来へ繋ぐために、ぜひ一度、お話をお聞かせください。

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