公開日: 2026年9月7日
静謐な和室に白菊と白百合が飾られた祭壇の様子。

弔辞で使う忌み言葉とは?葬儀で避けるべき言葉の由来と実例

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弔辞・弔電のマナー | 言葉づかい

葬儀で避けるべき「忌み言葉」の背景

和室の机に置かれた数珠と空白の筆記具の静物。

故人様を悼む気持ちを伝える場で、意図せずご遺族を傷つけてしまう「忌み言葉」。なぜ葬儀では特定の言葉が避けられてきたのでしょうか。この記事ではその背景と、具体的な言い換え例を解説します。

忌み言葉弔辞マナー葬儀

葬儀の場で使われる忌み言葉について、弔辞やご遺族への挨拶でどのような言葉を選べばよいか、迷われた経験はないでしょうか。故人様を悼み、ご遺族を慰める気持ちはあっても、意図せず不適切な言葉を使ってしまうことは避けたいものです。この記事では、葬儀で忌み言葉がなぜ避けられてきたのか、その背景にある日本の文化や考え方を紐解いていきます。また、具体的にどのような言葉が忌み言葉にあたるのか、そしてどのように言い換えればよいのかを実例とともに解説します。言葉のマナーの根底にある思いやりの心を理解することで、より深く、温かい気持ちで故人様をお見送りすることができるでしょう。

忌み言葉・重ね言葉とは何を指すのか

お葬式の場では、日常的に使っている言葉でも、避けるべきとされるものがあります。これらは「忌み言葉(いみことば)」と呼ばれ、故人様やご遺族の心情に配慮するための大切なマナーとされています。具体的にどのような言葉を指すのか、基本を押さえておきましょう。

弔事における「忌み言葉」

忌み言葉とは、一般的に縁起が悪いとされる言葉や、不幸を直接的に連想させる言葉全般を指します。お葬式は、ご遺族が大切な方を亡くされた悲しみの中にいる、非常に繊細な場です。そのため、死や苦しみを連想させる直接的な表現は、ご遺族の心をさらに傷つけてしまう可能性があるため避けるのが礼儀とされています。例えば、以下のような言葉が挙げられます。

  • 直接的な生死の表現:「死亡」「死ぬ」「生きていた頃」など
  • 不吉な連想をさせる言葉:「消える」「浮かばれない」「大変なことになる」など
  • 不幸が続くことを暗示する言葉:「追って」「また」「再び」など

これらの言葉は、無意識のうちに使ってしまいがちですが、弔辞や挨拶の際には、後述するような丁寧な表現に言い換えることを心がけましょう。

不幸が重なることを連想させる「重ね言葉」

忌み言葉の中でも特に注意したいのが、「重ね言葉」です。重ね言葉とは、同じ言葉を繰り返して使う表現のことで、不幸が「重なる」「繰り返す」ことを連想させるため、弔事では避けるべきとされています。具体的には、次のような言葉が該当します。

  • たびたび
  • ますます
  • くれぐれも
  • 重ね重ね
  • いよいよ
  • わざわざ

これらの言葉は、感謝や強調の意図で使われることも多いですが、お悔やみの場では「不幸が続く」という不吉な意味合いを帯びてしまいます。この習慣は、結婚式などのお祝いの場で「別れる」「切れる」といった言葉を避けるのと同様に、言葉が持つ力への配慮から生まれたものと言えるでしょう。

背景にある「言霊」という考え方

そもそも、なぜ特定の言葉を避ける文化が日本に根付いたのでしょうか。その背景には、古来より日本人が大切にしてきた「言霊(ことだま)」という独特の考え方が深く関わっています。言葉を単なる記号としてではなく、特別な力を持つものとして捉える思想が、現代の私たちにも影響を与えているのです。

言葉に宿る力「言霊(ことだま)」

言霊とは、「言葉に宿っていると信じられていた霊的な力」のことを指します。古代の日本では、口に出した言葉は現実の事象に対して何らかの影響を与えると考えられていました。良い言葉を発すれば良いことが起こり、不吉な言葉を発すれば悪いことが起こると信じられていたのです。この思想は、日本最古の歌集である『万葉集』にも「言霊の幸わう国(ことだまのさきわうくに)」、つまり言霊の力によって幸せがもたらされる国、と詠まれていることからも、古くから日本人の精神性に根差していたことがうかがえます。この言霊信仰が、お葬式の場で不吉な言葉や不幸の繰り返しを連想させる言葉を避ける「忌み言葉」の習慣の根源にあると考えられています。

穢れ(けがれ)を避ける思想

言霊信仰と並んで、神道における「穢れ」の概念も忌み言葉の背景にあるという説があります。神道では、死は「穢れ」の一種と捉えられてきました。ただし、これは故人様や死そのものが不浄であるという意味ではなく、「気枯れ」、つまり生命力が枯れた状態を指し、正常ではない状態とされています。この「穢れ」は周囲に伝播すると考えられていたため、死を連想させる言葉を口にすることは、穢れを広げ、新たな不幸を招きかねないとされました。そのため、不吉な言葉を避けることで穢れを遠ざけ、場を清浄に保とうとしたのです。こうした思想が、現代の葬儀における言葉遣いのマナーとして受け継がれていると言えるでしょう。

重ねる・数字・生死──避けられてきた言葉の分類

忌み言葉は、いくつかの種類に分類できます。どのような言葉が避けられてきたのか、具体的な言い換え例とともに見ていきましょう。これらの言い換えを知っておくことで、いざという時に落ち着いて対応することができます。特に弔辞を頼まれた際などには、事前に原稿を確認しておくと安心です。

避けたい言葉の分類と言い換え例

ここでは、代表的な忌み言葉の種類と、その言い換え表現を表にまとめました。故人様を偲び、ご遺族に寄り添う気持ちを伝えるための参考にしてください。

忌み言葉の分類 具体例 言い換え・配慮のポイント
重ね言葉 重ね重ね、くれぐれも、たびたび、ますます 「加えて」「深く」「どうぞ」「以前にも」など、一度で表現する言葉に言い換えます。
繰り返しを連想させる言葉 再び、また、続いて、追って 「改めて」「次に」「後ほど」などの表現を使います。不幸が続くことを避ける意図があります。
直接的な生死の表現 死亡、死ぬ、急死、生きていた頃 「ご逝去」「永眠される」「突然のこと」「ご生前」「お元気でいらした頃」など、柔らかい表現に言い換えます。
不吉な数字・言葉 四、九、消える、浮かばれない、大変なこと 「四」は「死」、「九」は「苦」を連想させるため避けます。他の言葉も使わないように注意しましょう。
ご遺族への配慮に欠ける言葉 頑張って、気を落とさずに 励ましの言葉も、ご遺族にとっては負担になる場合があります。「お力落としのことと存じます」など、気持ちに寄り添う言葉を選びます。

これらの言葉を避けるのは、あくまでご遺族の心情を思いやる気持ちの表れです。マナーに縛られすぎる必要はありませんが、こうした配慮ができると、より丁寧に弔意を伝えることができるでしょう。

葬儀で述べる弔辞の組み立て方と忌み言葉の言い換え

現代的な葬儀社の相談スペースの穏やかな風景。

実際に弔辞を依頼された場合、どのような構成で、どんな言葉を選べばよいのでしょうか。ここでは、弔辞の基本的な組み立て方と、忌み言葉を避けた具体的な言い回しについて解説します。葬儀における忌み言葉を意識しつつも、ご自身の素直な気持ちを伝えることが最も大切です。

弔辞の基本的な構成

弔辞は、故人様への最後のメッセージです。一般的には、以下の流れで構成されます。3〜5分程度、文字数にして1000字前後が目安とされています。

  1. 故人様への呼びかけ:「〇〇君」「〇〇さん」など、生前と同じように呼びかけます。
  2. 訃報に接した驚きや悲しみの言葉:突然の知らせへの驚きや、深い悲しみを述べます。
  3. 故人様との思い出や人柄を偲ぶエピソード:故人様との具体的な思い出や、その人柄が伝わるエピソードを語ります。
  4. ご遺族へのお悔やみと慰めの言葉:ご遺族の悲しみに寄り添い、慰めの言葉をかけます。
  5. 結びの言葉:故人様の安らかな眠りを祈る言葉で締めくくります。

もし弔辞の内容や、香典のマナーなど、葬儀に関して分からないことがあれば、一人で抱え込まず専門家に相談することも大切です。私たちアオバヤは、山形市・郡山市・宇都宮市・壬生町で長年お葬式をお手伝いしてきた経験から、皆様の不安に寄り添います。

弔辞で使える言い換え表現の例文

忌み言葉を避け、気持ちを伝えるための言い換え表現を、具体的な例文で見てみましょう。

  • 「たびたびお世話になりました」→「生前は大変お世話になりました」
    「たびたび」という重ね言葉を避け、「生前は」という丁寧な表現を使います。
  • 「皆様、くれぐれもご自愛ください」→「皆様、どうぞご自愛くださいませ」
    ご遺族を気遣う言葉ですが、「くれぐれも」は避け、「どうぞ」に言い換えます。
  • 「〇〇さんが亡くなったと聞き…」→「〇〇さんのご逝去の報に接し…」
    直接的な「亡くなった」という言葉を、「ご逝去」という敬意のこもった言葉に置き換えます。
  • 「また会いたいです」→「在りし日のお姿を偲び、心よりご冥福をお祈りいたします」
    「また」は繰り返しを連想させるため避け、故人様を偲ぶ気持ちを表現します。

言葉選びに迷った際は、無料事前相談をご利用いただくことで、心に余裕を持って準備を進めることも可能です。お見積り通りの明朗会計で、安心してご相談いただけます。

葬儀で注意したい宗教・宗派による忌み言葉の違い

これまで解説してきた葬儀の忌み言葉は、主に仏教の考え方に基づいたものです。しかし、日本で行われるお葬式は仏式だけではありません。神道やキリスト教など、宗教によって死生観が異なるため、使われる言葉も変わってきます。相手の宗教に配慮した言葉選びができるよう、基本的な違いを知っておきましょう。

仏教で一般的に使われる言葉

日本の葬儀の多くは仏式で行われるため、以下の言葉は広く使われています。

  • ご冥福をお祈りします:「冥土(死後の世界)での幸せを祈る」という意味の仏教用語です。
  • 成仏:煩悩を断ち切り、悟りを開いて仏になるという意味です。
  • 供養:故人様の冥福を祈り、お供え物や読経をすることです。

これらの言葉は、仏式の葬儀であれば問題なく使うことができます。

神道・キリスト教の場合

神道やキリスト教の葬儀では、仏教用語は使いません。それぞれの死生観に基づいた言葉を選ぶ必要があります。

  • 神道:神道では、故人様は家の守り神になると考えられています。そのため、「冥福」や「成仏」は使いません。「御霊(みたま)のご平安をお祈り申し上げます」「安らかにお眠りください」といった表現が用いられます。死を「穢れ」とする考え方があるため、通夜や告別式の後に「お清め」を行う習慣があります。
  • キリスト教:キリスト教では、死は神のもとに召され、安息に入ることと捉えられます。そのため、「お悔やみ」や「残念」といった言葉はあまり使いません。「安らかな眠りをお祈りいたします」(カトリック)、「神様のもとで安らかに憩われますように」(プロテスタント)などの言葉が一般的です。「天国」という言葉もキリスト教由来のものです。

ご遺族の宗教がわからない場合は、「哀悼の意を表します」「心よりお悔やみ申し上げます」といった、宗教色のない言葉を選ぶのが最も丁寧で無難な対応と言えるでしょう。

葬儀における忌み言葉は、日本の「言霊」文化や、故人様とご遺族を深く思いやる心から生まれた慣習です。重ね言葉や直接的な生死の表現を避けるのは、不幸が繰り返されることを遠ざけ、悲しみの中にいる方の心をさらに傷つけないための配慮にほかなりません。宗教による死生観の違いも、言葉選びに影響を与えます。しかし、最も大切なのは、形式的なマナーを守ること以上に、故人様を心から悼み、ご遺族に寄り添う気持ちです。もし言葉に迷ったときは、難しく考えすぎず、ご自身の素直な気持ちを丁寧な言葉で伝えることを心がけましょう。この記事が、あなたが大切な方をお見送りする際に、温かい気持ちを伝える一助となれば幸いです。

よくあるご質問

❓ 弔電で使ってはいけない言葉はありますか?

はい、弔辞と同様に「重ね言葉」や直接的な生死の表現、不吉な言葉は避けるのがマナーです。「たびたび」「重ね重ね」などの言葉は使わず、「ご逝去」や「永眠」といった表現を選びましょう。また、相手の宗教がわからない場合は、「冥福」「成仏」などの宗教色の強い言葉も避け、「哀悼の意を表します」といった表現が無難です。

❓ 「ご冥福をお祈りします」は使ってはいけないのですか?

「ご冥福をお祈りします」は仏教用語で、「冥土の旅での幸せを祈る」という意味です。そのため、仏式の葬儀では一般的に使われますが、神道やキリスト教の葬儀では使いません。相手の宗教がわからない場合や、不特定多数の方に向けてメッセージを送る際は、「哀悼の意を表します」「安らかなお眠りをお祈り申し上げます」などの表現を選ぶとよいでしょう。

❓ うっかり忌み言葉を使ってしまったら、どうすればよいですか?

もし弔辞の最中などに気づいた場合は、ことさらに訂正せず、そのまま話を続けても構いません。後から気づいた場合も、深く気に病む必要はありません。大切なのは故人様を悼む気持ちです。ご遺族も、あなたの気持ちを汲んでくださるでしょう。言葉遣い以上に、思いやりの心が重要です。

❓ 家族葬でも忌み言葉は避けるべきですか?

はい、親しい方々が集まる家族葬であっても、忌み言葉を避ける心遣いは大切です。故人様を偲び、ご遺族を慰める場であることに変わりはありません。形式ばった挨拶は少なくなるかもしれませんが、会話の中で自然と故人様を敬い、ご遺族の気持ちに寄り添う言葉を選ぶように心がけましょう。

❓ 忌み言葉の言い換えがとっさに出てきません。どうすればいいですか?

無理に難しい言葉を使う必要はありません。「悲しいです」「寂しくなります」といった素直な気持ちを伝える言葉でも十分に気持ちは伝わります。また、弔辞などを依頼された場合は、事前に原稿を用意し、忌み言葉が含まれていないか確認しておくと安心です。もし不安なことがあれば、葬儀社のスタッフに相談することもできます。

❓ なぜ数字の「四」や「九」は縁起が悪いのですか?

数字の「四(し)」は「死」を、「九(く)」は「苦」を連想させるため、日本では古くから不吉な数字として避けられる傾向にあります。これは言葉の音に意味を見出す「語呂合わせ」のようなもので、葬儀の場に限らず、病院の部屋番号などでも避けられることがあります。言葉が持つ響きを大切にする日本文化の一側面と言えるでしょう。

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